本気の恋を、教えてやるよ。
怪訝そうな顔をされ、困ってしまう。
「だって駒澤くんとじゃ……あまりにも部署が違いすぎるし、関わりもないし……」
そんな二人が一緒に居たら不思議がられる気がする。
「いや、割とみんな自由よ?社内で付き合ってるようなやつはベッタリしてるし、なんか突っ込まれたら仲のいい同期なんです〜くらいで平気でしょ」
そ、そういうものなのかなあ……。
どう答えればいいか分からず、視線を落とす私に、梓ちゃんが不意に真剣な眼差しを向けてきた。
「……もしかして、筒井と約束してたりするの?」
その言葉に、思わずピタリと静止する。
「……してないよ」
結局あの日以降、私は殆ど慶太と会っていない。
慶太と知らない女の子のキスを見た日から──駒澤くんが助けてくれた、あの日から。
私は怖くて、慶太に近付けない。