本気の恋を、教えてやるよ。



ご飯は美味しいけど、慣れない服に煌びやかな会場は少しだけ居心地が悪くて、にこやかに会話を楽しむ周りをなんとなく別世界のように眺めていた時。


「おーい!稲葉さん、妻夫木さん!」


明るい声が聞こえてきて、見ると佐川くんが駒澤くんを連れてこちらにやってくる所だった。


「佐川くん、駒澤く……」


知ってる人が増えたのにホッとして声を上げ、思わず尻窄みになる。


「やだ、駒澤。今日ちょっと色気ヤバくない?」


あんぐりと呆気に取られたように口を開けていた私は、梓ちゃんのその言葉でハッと我に返った。


いつの間にか目の前まで来ていた駒澤くんは、その言葉に顔を顰めている。


「はあ?」

「いやそうなのよ、コイツ今日さっきからあちこちで女の子に声掛けられまくり!そのせいでコイツすっげーイライラしだしたから、無理やり連れ出してきたんだよね」





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