本気の恋を、教えてやるよ。
「さっきの、あいつ、稲葉さんに褒められて照れてるだけだから」
「えっ」
「男って単純だからね。好きな子に褒められると簡単に舞い上がっちゃうんだよ」
悪戯っぽく耳元で囁かれ、思わず頬が熱くなる。
「わ、稲葉さんかわいっ!こりゃ楽斗もゾッコンになるわけだわ……」
ぞ、ゾッコンて……!
何故か梓ちゃんもうんうん頷いてるし!
「因みにあいつ、今どうやって稲葉さんのこと誘おうか悩んでるらしいから、もし誘われたらぜひ受けてやってね」
俺が言ってたってのは勿論内緒ね。バレたら怒られちゃうから。イタズラっ子のような顔でそう言った佐川くんも、他のテーブルに用事があるらしく離れていってしまう。
何か言葉を返す暇もなく、呆然としていると梓ちゃんがニヤニヤしなら私を見た。
「……良かったじゃん。パーティのパートナーが出来て」
「っ、」
「駒澤、茉莉に断られでもしたらすっごい悲しむんだろうなあ〜」