本気の恋を、教えてやるよ。



「さっきの、あいつ、稲葉さんに褒められて照れてるだけだから」

「えっ」

「男って単純だからね。好きな子に褒められると簡単に舞い上がっちゃうんだよ」


悪戯っぽく耳元で囁かれ、思わず頬が熱くなる。


「わ、稲葉さんかわいっ!こりゃ楽斗もゾッコンになるわけだわ……」


ぞ、ゾッコンて……!

何故か梓ちゃんもうんうん頷いてるし!


「因みにあいつ、今どうやって稲葉さんのこと誘おうか悩んでるらしいから、もし誘われたらぜひ受けてやってね」


俺が言ってたってのは勿論内緒ね。バレたら怒られちゃうから。イタズラっ子のような顔でそう言った佐川くんも、他のテーブルに用事があるらしく離れていってしまう。


何か言葉を返す暇もなく、呆然としていると梓ちゃんがニヤニヤしなら私を見た。


「……良かったじゃん。パーティのパートナーが出来て」

「っ、」

「駒澤、茉莉に断られでもしたらすっごい悲しむんだろうなあ〜」



< 181 / 392 >

この作品をシェア

pagetop