本気の恋を、教えてやるよ。



──どうしよう、怒られる?

駒澤くんと楽しそうに話しているところをばっちり見られてしまったから、また殴られるかもしれない。なんて身構えていたけど。


慶太は何も言わずに目を逸らし、もうこちらを見なかった。


え……?


今までこんなこと、無かったのに。私が男の子と話してるだけで、怒って無理やり私を連れ出して。それがいつもの流れだった。


でも、最後に見えた慶太の顔が、少し泣きそうだったようにも思えて。


私はモヤモヤした気持ちを抑え込むように、唇を噛んだ。


それから暫くすると梓ちゃんと佐川くんも戻ってきて、四人で美味しい食事を楽しんだ。


やがてアナウンスが流れ、楽しい時間も終わりを告げる。


始まりと同じように社長が登壇し、締めの挨拶を行うとその場はお開きとなった。


とはいってもまだ暫くは居て平気で、早々に帰宅する人や、その場に残り歓談を楽しむ人もいて様々だ。



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