本気の恋を、教えてやるよ。



今日もちょこちょこ駒澤くんに女の子が話しかけてきてたもんな……。


でも駒澤くんはあんまり騒がれるのが好きじゃないらしく、殆ど無表情で対応してた。もしくは佐川くんがニコニコしながら代わりに話してたり……。


そう思うと、そんな駒澤くんが笑った顔を見れる私って、相当運がいいのかもしれない。


「──稲葉?」

「へいっ!?」


ぼんやりと考え事をしていたら、鼻先がくっつきそうな程近くに駒澤くんの顔があり、思わずビクッと仰け反ってしまった。


突然のイケメンドアップは心臓に悪い。


「へいってなんだよ。もう、着くよ」

「あ、ごめん……ボーっとしてた……」

「稲葉ってたまに別の世界飛んでるよなあ」


ははは、と笑いながら駒澤くんが眉を下げる。


別の世界……そうなのかな。駒澤くんのこと考えてただけなんだけど……。


うーん、とまた少し考え込んでいると、駒澤くんがふっと口元を緩め。



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