本気の恋を、教えてやるよ。
「あ、梓ちゃん……?」
恐る恐る呼び掛けると、ものすごく不機嫌そうな顔が振り向く。
ひえ……っ、これはかなりお怒りだ……!
「ああああの、梓ちゃん?お、怒ってる?」
「怒ってるに決まってるでしょ!」
えええ……!
怒らせた覚えが全くなくて、当然のように言い切られたそれに困り果てる。
すると梓ちゃんは、苛立ちを込めた拳でガンッと壁を殴るように叩いた。
「何っで最近、筒井と会社に来たり一緒に帰ったりしてんの?」
「え……。あ、でも、それは前から──」
「夏頃からあんた達めっきり話さなくなってたじゃない。私が気付いてないとでも思ってるの?茉莉の怪我も、全く無くなって……」
安心、してたのに。と苦々しげに呻く梓ちゃん。
「それが、ここ一週間、あんた達ずーっとベッタリじゃない。お昼も用事があるって最近私と食べないけど、筒井の所に行ってるんでしょ」