本気の恋を、教えてやるよ。



「──すごい人だね」


神社に着くと、もう参拝客で溢れかえっていた。


まあ大晦日だし、仕方ないんだけど動きにくくてしょうがない。


「だな。稲葉、はぐれんなよ」

「は、はぐれないよ!子供じゃないんだから……」


そう言うと、駒澤くんはおかしそうに笑ってから、繋いだ手にぎゅっと力を込めた。


「はぐれさせねーから、大丈夫」


そう微笑んだ駒澤くんの眼差しが、あまりにも甘くて、きゅうう、とまた胸が締め付けられる。


「こ、駒澤くん……」

「なに?」

「甘すぎます……」

「なんじゃそりゃ」


ははは、と笑う駒澤くんに、本当だよ、と心の中で付け足す。


甘くて、甘くて。

……ドキドキする。


「……お、カウントダウン始まったな」


言われてみれば、周りの人たちが大きな声で、「じゅー!きゅーう!」と楽しそうに叫んでいる。



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