本気の恋を、教えてやるよ。
「ま〜りっ」
エントランスに向かって歩いていると、そんな声とともに背中に軽い衝撃が走る。
驚いて振り向くと、にこにこした梓ちゃんが居た。
「梓ちゃん!」
「私も帰りなの。会社出るまで一緒に行こ」
そう誘ってくれた梓ちゃんに頷き、二人で会社を出たところで暫く雑談する。
すると、ふっと私たちに影が落ち、見上げると駒澤くんが立っていた。
「ごめん待たせた。帰ろ」
「あ、うん!梓ちゃん、また明日──」
また明日ね、と言おうとした言葉は、梓ちゃんがあまりにもニヤニヤしていたからビックリして立ち消える。
駒澤くんも居心地悪そうにちょっと不機嫌な顔で梓ちゃんを見下ろしていた。
「いいわねえ〜?毎日のようにダーリンに送って貰えて」
「だっ……!?な、何言ってるの梓ちゃん!」
「だあってそうでしょうよ、年明けから時間さえあればいつもいつも……」