本気の恋を、教えてやるよ。



あー暑い暑い。と手で扇ぐ真似をする梓ちゃん。


私は何も言い返せず、真っ赤な顔で押し黙った。


確かに、梓ちゃんの言う通り、時間さえ合えば駒澤くんは私を家まで送ってくている。


逆方向なのに申し訳ない、って言ったんだけど、俺がアンタと居たいから、と言われてしまっては断ることも出来なくて。


帰りはたまに、手を繋いだりして。


そういう時は決まって無言だけど、その無言が、静けさが、心地よくて。


……わかってる。

この胸のトキメキが、なんなのかってことくらいは。


分かってるけど、もう少し。


まだ、伝えるには勇気がいるから。


……もう少しだけ、待っててね。


「……駒澤もすっかり彼氏気分だもんねえ?」


梓ちゃんがからかいの矢を駒澤くんに向けると、駒澤くんは僅かに目元を赤らめ、益々不機嫌そうに眉を顰める。


「うるさい、妻夫木」

「はいはい、ラブラブタイムを邪魔してごめんなさいね〜」



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