本気の恋を、教えてやるよ。



あー、やってらんないわーなんて言いながら、しっしと手で追い払う仕草をする梓ちゃん。


「あ、梓ちゃんも駅まで一緒に……」

「冗談やめてよ、隣でラブラブされちゃ居心地悪いったら」


提案した瞬間、苦い顔で断られてしまう。それが本気で嫌がってそうな顔だったから、それなら、と梓ちゃんの言葉に甘えることにした。


じゃあね、と梓ちゃんに手を振ってから歩き出す。


「……でも、そうかも」

「え?」


暫く歩いたところで、ぼそりと降ってきた声に駒澤くんを見上げると、駒澤くんは口元を覆って、そっぽを向いていて。


私の視線に気づき、ちらりと私を見ると、照れたようにはにかんだ。


「……ちょっと、彼氏気分」

「……っ、!」


その言葉に、仕草に、表情に。


ボボボッと、身体中が熱を持つ。


「あー俺、なんか浮かれてるな……」

「そ、そんなことないよ」


浮かれてるなら、きっとそれは私も同じで。



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