本気の恋を、教えてやるよ。
#4.愛してくれて、ありがとう。
街はふわりふわりと浮き足立ち。
目の端に映るのは、赤、ピンク─恋の色。
そんな街の雰囲気に当てられて、ふわりゆらゆら浮かぶのは私の心。
あと、一週間。
「……り……茉莉!」
ハッ、と自分の名前を呼ばれたことにより、意識が浮上する。
目の前には、鼻先がくっついてしまいそうなほどの距離に梓ちゃんの顔があった。
「あ、ご、ごめん梓ちゃん」
「……最近ぼーっとし過ぎじゃない?茉莉」
「あ、あはは」
その通り。
頭の中は一週間後に控えたイベントで一杯だった。
誤魔化すように苦笑いした私を、梓ちゃんは暫くジーッと見つめた後で、悪巧みでもするような顔でニヤリと笑った。
「わかった。もしかして、バレンタイン?」
「へっ!?」
「おっ、図星だ」
わっかりやすー、とケラケラ笑う梓ちゃん。
対する私の顔は、自分でもわかるくらいに赤い。