本気の恋を、教えてやるよ。
今日のうちにバレンタインの材料を買うつもりだから、さすがに駒澤くんに着いてきてもらう訳にはいかない。
駒澤くんは暫く探るような目つきで私を見てたけど、「ふーん……」と呟くと、わかった、と頷いてくれた。
……でも。
「こ、駒澤くん……?」
「何」
「なんか怒ってる?」
「は?……なんで」
なんで、って。
駒澤くん気付いてないのかな。眉間のしわが凄いことになってること。
「眉間のしわ、すごいよ?」
自分の眉間を人差し指でトントン、と叩いて小首を傾げれば、驚いた顔をした駒澤くんが次の瞬間にはプイッと顔を逸らしていた。
口元を手の甲で覆うように隠した駒澤くんの耳が、ほんのりと赤い。
「や、悪い。……つか、まじか。そんな顔に出てた?俺」
「え?」
「……気にしないで。勝手に拗ねてただけだから」
拗ねてた?と反芻すれば、駒澤くんは苦笑いした。