本気の恋を、教えてやるよ。




きゅ、とリップを横に引いてから時計を見ると、一時半前。


まだ待ち合わせには早いけど、時間に余裕を持つつもりで出ても問題ないだろう。


何より、こんなドキドキそわそわした状態で家でじっとしてるなんて、無理。


「あー、心臓破裂しそう……」


痛いくらいドキドキと煩い胸に手を当てながら、私は立ち上がった。


ブーツのチャックを上げながら、忘れ物が無いか確認する。


財布よし。携帯よし。ハンカチ、ティッシュも大丈夫。──それから一番大事な、チョコレートも。


鞄から少し覗くリボンに、頬が緩む。


駒澤くん、喜んでくれるかな。……なんて言ってくれるかな。


期待と、ほんの少しの不安を抱えて。


私の足は、駒澤くんの元へと駆け出した。






カフェのある駅について、やっぱりちょっと早かったかなーと時計を確認すると、約束の十五分前。



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