本気の恋を、教えてやるよ。



答えを持ち合わせていないので、はは、と笑ってみれば駒澤くんが眉間のしわを解きながら深いため息をついた。


「ほんと、心配すぎる……。ナンパされた時は、もっと嫌がらなきゃダメ」


じろ、と私を睨んだ駒澤くんに、心配かけてごめんねと謝る。


すると駒澤くんは、もういいよ、と苦笑した。


「俺がもっと早く来れば良かったんだし」

「いや!それは私が早く着きすぎただけで──」

「ほら、カフェ入ろ」


……駒澤くんは、私の言い分はちっとも聞いてくれない。


手を引かれて入ったカフェは何度か来たことのあるお店で、橙色の暖かい灯りが印象的な、落ち着いた雰囲気の素敵なお店。


いらっしゃいませー、という店員さんの声に導かれるように、私たちは奥の方のテーブル席へと腰を下ろした。


「ここのお店好きなの」

「へえ、俺も好き」


頬杖をついた状態で、こちらを見上げながら微笑む駒澤くんに思わず固まる。



< 249 / 392 >

この作品をシェア

pagetop