本気の恋を、教えてやるよ。
一瞬で離れていったそれは、暖かくて、甘くて。否応なしに跳ね上がる心臓の音が煩い。
「こ、駒澤くん!ここお店……!」
「誰も見てねーよ。見てても見ないふりしてくれるから大丈夫」
大丈夫じゃないよ!それ、見られてることに変わりないじゃん!
だけど、恥ずかしさのあまり拗ねる私に、「ごめんな。でも幸せすぎて」と困ったように、でも嬉しそうに微笑まれたら、何も言えるわけが無くて。
ただただ、喜んでくれてよかった、と。
心の底からそう思った。
「──そろそろ出るか」
「そうだね。あんまり長居しても悪いしね」
それから二十分程経ったところで、駒澤くんの一言により私たちは立ち上がった。
その時、ごく自然に駒澤くんが伝票を手にし、慌てて財布を出そうとすると片手で制される。
「いいよ、俺が出すから」
「え、なんで?私も払うよ!」
「バーカ、せっかく本物の彼氏になれたんだから、少しくらい彼氏気分味あわせてよ」