本気の恋を、教えてやるよ。
「ごめん。遅くなって」
「え?ううん、ちゃんと連絡くれてたし、私が勝手に来ただけだから……」
勝手に来てごめんね、と謝る稲葉を離し、寒さのせいで赤くなってる頬を包み込む。
じ、とこちらを見上げてくるくりくりの目が可愛くて、ふ、と思わず吐息のような笑いが零れた。
「来てくれてありがと。……予想外だったから、すげえ嬉しい」
「駒澤くん……」
「でも風邪引くから、どっか入ろ」
そう稲葉の手を握り、歩き出す。
どこでもいいよ、と言う稲葉の言葉に甘え、近くのイタリアンレストランに入った俺は、注文を終えたあとでリュックから正方形の箱を取り出した。
「これ、お返し」
「ありがとう……!開けてもいい?」
目をキラキラさせる稲葉にこくりと頷けば、白魚のような指先が包装紙を暴いていく。
そして、中から顔を出した淡いピンクの宝石が散りばめられたピアスに、稲葉の瞳がさらに輝きを増す。