本気の恋を、教えてやるよ。



何が起きたのか理解できないまま、聞こえてきた声から予想し、私は恐る恐る口を開いた。


「……に、新田さん?」


すると、視界がパッと明るくなり、振り向くと満面の笑みが飛び込んできた。


明るい茶髪の男性が、ピースサインを作って立っている。


「せーかい!よくできました」

「新田さん……!お久しぶりです!」


その姿に思わずパッと気分が明るくなる。


新田さんはつい数ヶ月前まで経理部で一緒だった先輩で、すごく可愛がってくれてたのだけど、別の支社に異動になってしまったのだ。


他の経理部のメンバーも、笑顔で新田さんに声をかけている。


新田さんは手に持っていた紙袋を、ドサッと私のデスクに置いた。


「はい、お土産」

「わあ……!ありがとうございます。今日は出張ですか?」


袋の中を覗き込みながら尋ねると、新田さんはうん、と頷く。


「報告会があってさー、……っと、あとこれ」



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