本気の恋を、教えてやるよ。
*º楽斗side.
「あれ、稲葉は?」
昼休み。
今日は四人で昼をとる約束をしていて、壱人とエントランスに向かうと、そこには妻夫木の姿しか無かった。
妻夫木は、つまらなそうにスマホを持った手をヒラヒラと振る。
「残念ね。あんたの愛しい彼女は元彼と委員会中よ」
「委員会……」
確かに春の発令で、二人が同じ委員会に任命されていたことは知っていた。
延びてるのか、と納得しかけ、あれ?と思う。
「でも、俺らの階に居る社内報委員のヤツらは十一時すぎには戻ってきてなかった?」
壱人も同じことを考えていたらしい。
だよな。と頷くと、妻夫木が目を丸くして俺を見た。
「え、佐川は知らなくても当たり前だけど……駒澤、あの子から聞いてないの?」
「……何が?」
思わず聞き返した声は自分でも驚くほど低く、妻夫木は「あー……」と気まずそうに目を逸らした後で、観念したように話し始めた。