本気の恋を、教えてやるよ。
#2.また、囚われる。
「再来週だっけ?皆で遊園地に行くの」
梓ちゃんの問いに、うん、と頷く。
ゴールデンウィークが終わり、薫風さわやかな五月中旬。梓ちゃんの言う通り、慶太と企画したイベントが再来週の土曜日に迫っていた。
まず第一弾として、福利厚生で貰えるテーマパークのチケットを利用し、土曜日に社内の人との交流を図ることに。といっても、プロトタイプの企画なので、誘ったのは本社と近くの支社に在籍する同期だけ。
ほぼ同期会の様相を呈してる。
慶太とはあれから、当たり障りのない会話を時々交わしていた。それは勿論、委員会や係の仕事をしている時だけで、普段は話さない。
同期という間柄よりも遠い、まるで他人のようなその距離も、委員会の時に避けられることが無くなったせいか、苦しいとは思わなくなった。
慶太と話していると、出会った頃を思い出す。
優しくて頼り甲斐のあった、慶太のことを。