本気の恋を、教えてやるよ。
慶太に言われた通り、二人きりの時でも私たちはお互いを苗字で呼び合う。
それも、付き合う前の頃を彷彿とさせる要因の一つでもあるけど。
慶太と二人きりでの活動も、恐らくこれで終わりだ。
イベントの結果を纏め、一先ずの計画書として提出する。その後はそれをベースに委員会皆でその後の計画を練り、形にしていくことになる。
他のメンバーが入れば、私と慶太の関わりも段々と減っていくだろう。
だけど、それでいい。
そんなに長く慶太と関わっていても仕方が無いし、少しでも昔の慶太に触れることが出来ただけで、私は満足だった。
それにやっぱり、私と慶太が同じ係だということを、駒澤くんは良く思ってないみたいだから。
……いたずらに彼の心を乱したくない。──確かに、それは私の本心だった筈なのだ。
「今日が、イベント前最後の活動だっけ」
イベントの四日前。
駅で待ち合わせた駒澤くんと会社に向かう途中、不意にそう尋ねてきた駒澤くんに頷く。