本気の恋を、教えてやるよ。




だから私は安心させるように微笑んでから頷き、あとはもう、振り返らなかった。


足の長い慶太とは圧倒的にコンパスの差があり、どんどん進んでいってしまう慶太を小走りで追いかける。


入金、何かミスってたんだろうか……。


そんな不安を抱えながら、慶太は小さめの会議室に入り、私もその後に続き、部屋に足を踏み入れた──その瞬間。


「いっ……!」


──ダンッ!!

手首を力任せに掴み寄せられ、痛みに顔を歪めると同時、背中に強い衝撃が走った。


一瞬のうちに壁に身体を縫い付けられ、怖くなる。


「慶──んぅっ……!」


前髪で隠れて表情の読めない慶太の名前を呼ぼうと口を開くと、慶太が噛み付くように塞いできた。


反射的に拒絶するが、そんなのものともせず、呼吸を奪うように深く唇を重ねてくる。


乱暴に咥内をまさぐられるそれは全然気持ちよくも幸せでもなく、ただただ苦しくて怖い。



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