本気の恋を、教えてやるよ。



だけど茉莉は、全てを許すから。


俺のすることを全て赦して、受け入れてくれるから。


どうしてこんな腐った男を許すんだ、というやるせない気持ち。こんな程度じゃ嫉妬すらしてくれないのか、なんて。


だったら、まだ終われない。

私以外の女の子を見ないで、と縋られるまでは、終われない。


だけどそんな日は、きっと来ない。


……本当はもう、茉莉が壊れてしまったことに気付いてた。


前までの感情豊かな茉莉は消えてしまって、ただそこに在るのは、俺に従うだけの人形。


好きだと言えば、私もだと返ってくる。

抱きたいと言えば、君は服を脱ぐ。


そんな簡単な愛は、虚しいだけで。


彼女を壊してしまったのはこの手で、それはどうしようもない事実だ。


俺に心も体もズタズタに傷付けられた茉莉を可哀想だと、解放してあげたいと、確かにそういう感情もあるのに。


それが出来ないのは、俺の弱さ。



< 305 / 392 >

この作品をシェア

pagetop