本気の恋を、教えてやるよ。



どんな形だとしても、関わっていたかったから。


だけどこの気持ちを伝えるつもりなんて無くて。

君を惑わせるつもりなんか、無くて。


──だけど。


茉莉と関われば関わるほど、思い出すのは、溢れるのは、愛しくて切なくて、甘い気持ちばかりで。


茉莉に触れたい。抱きしめて、キスしたい。


そんな思いばかりがとめどなく巡ってしまう。


なあ、やっぱり駄目みたいだ、俺。


好きな人の幸せを願う為に身を引くなんて、そんな善人にはなれなかったみたい。


友達?

そんなの、今更戻れるわけが無い。


近くにいたら、触れてしまいたくなるのに。

ふとした瞬間、君の唇を奪いたくなるのに。


好きだ。どうしようもなく焦がれてる。


他の女なんか眼中にも無い。


俺のこの感情も、身体も、髪の一筋さえも君に捧げるから。


だから、どうか──。


「戻ってきて、茉莉……」


君がいないと壊れてしまう。


苦しくて、痛くて、死んでしまいそうだから。




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