本気の恋を、教えてやるよ。
#1.話すことさえも
「……茉莉?」
駒澤くんに怒鳴られて咄嗟に逃げ出した足で辿り着いたのは、梓ちゃんの所で。
ガクガクと足を震わす私を、梓ちゃんは戸惑ったように見た。
「え、ちょっとどうしたの?顔真っ青……」
「梓、ちゃん……」
どうしよう、どうしよう。頭が追いついていかない。
あんな風に激昂する駒澤くんを見たのは、初めてで──怖くて。
最低なことをしたのは私なのに。
怒らせたのは、私なのに。
「……っ、」
「え、ちょっと茉莉!?」
思わずじわりと涙が込み上げてきて、泣くまいと私はその場にしゃがみ込んだ。
泣くな、泣いたら駄目。
泣く資格なんて私に無い。
泣いていいのは、私じゃない。
「──おい、どうした!?」
暫く気持ちを落ち着けてから立ち上がろう。そう思って呼吸を整えていたら、そんな声とともに腕を掴まれ、立ち上がらされる。