本気の恋を、教えてやるよ。
「……何、泣いてんの」
「慶、太……」
そこに居たのは慶太で、目を丸くしながら私を見下ろしていた。
何て答えればいいのか分からなくて目を逸らそうとすると、梓ちゃんの腕が伸びてきてベリっと私は慶太から引き剥がされた。
「ちょっと、茉莉に気安く触らないで」
鋭い目つきで睨みあげる梓ちゃんに、慶太が苦笑いを浮かべる。
「俺も随分嫌われたなあ」
「当たり前でしょ?何しに来たの」
「係の仕事、当日もあるって聞いてない?そろそろ少し話したくて迎えに来たんだよ」
そしたら、お前が蹲ってたから。──私に視線をもどし、心配げな色を瞳に滲ませる慶太。
「……心配かけてごめんね。なんでもないから」
「何でもないって、そんな顔で説得力無いから」
慶太の真剣な眼差しが、私を貫く。
「……さっき、駒澤の所に行ってたの?」
「っ、」
思わずびくりと反応してしまう。