本気の恋を、教えてやるよ。
「そういうつもりじゃ無かったんだけど、俺も結構戸惑っててさ」
「うん……」
「……だって二人とも、すごい幸せそうだったから」
ぽつり、放たれた言葉が鋭く刺さる。
確かに、夢のように幸せだった。──駒澤くんも、同じように思っててくれてたんだとしたら。
「楽斗、最近沈んでるんだ」
その幸せを、駒澤くんの幸せを壊してしまったのは、私?
「こんなこと、部外者の俺に言われたくないかもしれないけど……あんま、楽斗のこと傷つけないでやって」
「……っ、」
「稲葉さんはさ、楽斗がどれだけ稲葉さんのことを好きで仕方なかったのか……分かってないんだ」
ふ、と息を零すように最後に小さく笑んだ佐川くんは、「怒ってるわけじゃないから、ごめんね」と謝って、背中を向けた。
取り残された私は、今更思い至る。
──もしかしてもう、駒澤くんは話してもくれないんじゃないか、と。