本気の恋を、教えてやるよ。
本当は、出来ることなら、駒澤くんと友達に戻りたかった。今すぐには無理でも、いつか。そのつもりだった。──でも、駒澤くんは?
皆、もう私と駒澤くんは元には戻れない、みたいな言い方をしてくる。
梓ちゃんも、佐川くんも、──駒澤くん本人でさえ。
駒澤くんなら、また会った時は何事も無かったかのように接してくれるだなんて、疑いもせず思っていた。
……でも。
ふと、昨日のことを思い出す。
偶然駒澤くんの働くフロアに用があって執務室に向かって歩いていた時、丁度向こう側から歩いてくる駒澤くんとすれ違った。
確かにあの時、駒澤くんとは少しも目が合わなくて。
急いでるのかな。気付いてないだけかな、なんて呑気に考えていたけど。
……もしかして、わざと?
「逸らされたんだ……私」
そう気づいた瞬間、刺されたような胸の痛みに泣きたくなった。
……ああ、そうか。許されないんだ。
もう、駒澤くんは許してくれないんだ。
顔を合わすことも。
話す、ことさえ。