本気の恋を、教えてやるよ。
「……少し風に当たろっか」
ぼろぼろと涙腺が壊れてしまったかのように涙を流し続ける私の肩を宥めるように抱き寄せ、梓ちゃんが近くの通用口から外に連れ出してくれる。
「……ごめんね、仕事平気?」
ず、と洟をすすりながらぽつりと謝ると、少しくらいヘーキよと梓ちゃんはカラッと笑った。
泣いたせいで火照った頬に風が気持ちよくて、腫れぼったい瞼を冷やすように目を閉じる。
「少し落ち着いてきた?」
「うん。突然泣いてごめんね」
泣きたかったわけじゃない。
でも、止まらなくて。
胸の痛みは、今も消えない。
「……私、駒澤くんと本当は友達に戻りたかったの。戻れるって、思ってた」
疑ってすら居なかった。
恋人という関係が消えてしまっても、同期であり友達、そんな、少し前の関係に戻るだけだと。
──信じて、疑わなかった。
「でも、違うんだね」