本気の恋を、教えてやるよ。

友達だなんて綺麗な関係は、とうに壊れていて。


それでもあえて私たちの関係に名前をつけるのならば、それは。


「……他人、なんだ」


何の関わりもない、赤の他人。


駒澤くんからしたら、きっとそれだけ。もしかすると、私の顔なんかもう見たくも無いのかもしれない。


「……嫌だ」


嫌だ。嫌だよ。

駒澤くんに嫌われるのは、怖い。苦しい。


初めて私の弱さに気付いて、それを支えてくれた人。


愛することしか知らなかった私に、愛される喜びを教えてくれた人。


愛が何なのか、恋が何なのか。

忘れかけていた私の心をそっと解いて、優しく呼び戻してくれた。


「もう、ダメなのかな……っ？」


もう、戻れない？

私の顔なんて、見たくもない？


話すことさえ、許してくれないの──……？


「茉莉……それは、都合が良すぎるわ」

「っ、」

「だって茉莉は、駒澤の意見も聞かずに一方的に別れを告げてきて……駒澤がどんな気持ちだったかわかる？」