本気の恋を、教えてやるよ。



私も、会社の女の先輩から、駒澤くんについて何度も聞かれたことがある。すごいイケメンいるんでしょ!?って。


でも私は研修でも喋ったことがないし、接点がないままお互い別部署に配属されてしまったので、まともに話すのはこれが初めてだった。


まさか向こうも、私の名前知っててくれたなんてなあ。


そんなことを考えているとまたドアが開き、駒澤君が戻ってきた。


「これで冷やせ」


そう差し出してくれたのは、氷水の入った袋で。


「ありがとう」


私はありがたくそれを受け取って、腫れてきた頬に当てた。


ひんやりとして、気持ちいい……。


思わずうっとりと目を閉じると、駒澤くんが隣に座ったのがわかった。


私が地べたに座り込んでいるせいで、駒澤くんも倣ってそうするので少し慌ててしまう。


「こ、駒澤くん!」

「なに」

「服、よごれちゃうよ!椅子に……!」

「別にいい。アンタが椅子に座んなら、座るけど」



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