本気の恋を、教えてやるよ。



「ありがと、慶太」

「ありがと」


慶太とも、あれから気まずくなることも無く、こうして仕事終わり時間が合えばご飯に行くくらいには仲のいい関係をきずけている。


正直、直後はやっぱり気まずくて戸惑ってしまっていたから、慶太から話し掛けてくれた時は嬉しかった。


梓ちゃんもこうしてご飯に付き合ってくれるくらいには、ツンツンしなくなったしね。


「もう駒澤の席まで乗り込んじゃえば?」

「……それも試したよ」


用事のあるフリをして、ダミーの書類を持ちながら席に行ったりした。


けど、私の気配を感じると、駒澤くんは誰も寄せ付けないような雰囲気を醸し出しながら、私が駒澤くんの元へ向かうよりも先にどこかに行ってしまう。


お昼に誘おうとしたり、廊下ですれ違った駒澤くんに声を掛けようとしたり、でも全部空回りで。


一度、怯んじゃダメだ!と追いかけたこともあったんだけど……。




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