本気の恋を、教えてやるよ。
待って、と後ろから引き止めたら、物凄く嫌そうな顔で「トイレにまでついてくんの?」と言い放たれた。
その事があってからは、迂闊に近寄れなくて。
そう話すと、はあ〜……と慶太はため息をついた。
「……なんだアイツ、子供かよ」
そんな慶太の言葉に、うんうんと同意するように頷く梓ちゃん。
「拗ねた子供にしか見えないわよね」
……って。
なんだかそんな喩えをされると、ちょっと可愛く思えてきちゃうのでやめて欲しい。
駒澤くんは拗ねてるとかじゃなくて、本気で怒ってる。
もう、私の顔なんて見たくないのかも。
でも、この気持ちだけは伝えたい。どんなに冷たい言葉で拒絶されてもいい。
私の本当の気持ちを、伝えたいの。
「あのね、梓ちゃん。実は少し協力して欲しいことがあって──」
私が数日前から考えていた作戦を梓ちゃんに耳打ちすると、それいいわね、と梓ちゃんも乗ってくれた。