本気の恋を、教えてやるよ。
舌打ちでもするような勢いで、忌々しそうに呟く駒澤くん。
慶太が最低なら、それを止められなくて見過ごしてる私は、もっと最低かも。
「いつもやられてんなら、誰かに相談とか──」
「ううん!いつもじゃないよ」
私は駒澤くんの言葉を遮るように、立ち上がった。
これ以上、駒澤くんに迷惑はかけられない。
「氷水、ありがとう。私そろそろ仕事に戻るね!」
すると、何か言いたげに暫く私を見上げていた駒澤くんは、やがて諦めるように息をついて立ち上がった。
「なら俺も戻る」
そう隣に並んだ駒澤くんは、あんまり納得してなさそうな顔で。
心配してくれたのにごめんね、と心の中で小さく謝った。
梓ちゃんや、立木さんや、駒澤くんの言葉がぐるぐると巡る。
私は本当にこのままでいいの?
今更、そんなどうしようもない疑問がふつふつと湧き上がってくるのだった。