本気の恋を、教えてやるよ。



そういうベタそうなの好きそうじゃない?とちょっとからかう様な声音だった事は置いといて、確かに料理はそこまで嫌いじゃなかったので、良い機会だな、と思ったのだ。


デートも外に出るばかりで、お家デートはしたことがなかったから新鮮だしな、とも。


「楽斗……?」


何も言ってくれない楽斗に不安になりながらその顔を覗き込むと、楽斗がハッと瞬いた。


「えっと……いいの?お邪魔しても」

「勿論!沢山作るね」

「あーうん。……あのさ」


ちら、とこちらを窺うような視線が絡む。

首を傾げると、楽斗は口元を押さえてそろりと視線を泳がせた。


「……期待しちゃうんだけど、色々」


いいの?とどこか熱っぽい視線で問われて、考える。……期待。


そして私は、笑顔で頷いた。


「ちゃんと楽斗の好きな食べ物リサーチして用意してるから、安心して!」


この数週間、こっそり探ったり、佐川くんに聞いたり、色々と手を尽くしたのだ。



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