本気の恋を、教えてやるよ。



「あーウン。楽しみにしてるわ……」


だけど何故か楽斗はやや虚ろな目で、空笑いを零すから、私は首を傾げるのだった。


二人で電車に乗り、家の最寄り駅付近のスーパーで買い物をする。そのまま談笑しながら歩けば、あっという間に家まで到着した。


「どうぞ」


鍵を開けてドアを開き、楽斗を手招く。

楽斗は持っていた買い物袋を抱え直しながら、少し緊張したようにドアを潜る。


「お邪魔します……」

「洗面台はここだよ。ちょっとだけ時間かかるから、手洗いうがい終わったらリビングでゆっくりしててね!」


そう言って自分はリビングの方で手を洗おうと、楽斗から買い物袋を受け取ろうとすると、楽斗はそんな私を制した。


「荷物運ぶのくらいやらせてよ」


そう苦笑され、私の頭を優しく叩いてから「こっち?」と言いながらリビングへと進む楽斗。


彼の優しい眼差しにぽけっとしていた私は、返事をしながら慌ててその背中を追った。



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