本気の恋を、教えてやるよ。



出来れば何を作るのかは秘密、サプライズにしたかったので、手伝いたがる楽斗をどうにかリビングのソファーに閉じ込めて、料理作りを進めた。


「すげーいい匂いしてきた」


すん、と鼻を鳴らした楽斗に微笑む。


「もうそろそろ完成……っと。よし、出来たよ!」


鍋をかき混ぜていた手を止め、クッキングヒーターの電源を落とす。


「運ぶの手伝う」とキッチンまでやってきた楽斗は、出来上がった料理を覗き込み、感嘆の声を上げた。


「佐川くんにね、楽斗はハンバーグとかオムライスとか、子供っぽいものが好きって聞いたから、オムライスにしてみた!」

「……一言余計だよな、アイツ」


拗ねたように目を逸らし、照れを誤魔化す楽斗に笑い、オムライスを彼に託してコンソメスープをよそう。


あまり大きくない楕円形のローテーブルに二人分の料理を並べ、向かい合って「いただきます」と手を合わせた。



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