本気の恋を、教えてやるよ。
#2.守らなくちゃ、って思う
*º楽斗side.
「こ、駒澤くん」
初めて紡がれた自分の名前。
小さい唇からこぼれ落ちる、ピアノの音色のような声は想像以上に可愛くて、甘い音色で、ぐっと堪えないと心臓がバカみたいに騒ぎ出してしまいそうだった。
でもすぐに、彼女の小さな手から覗く赤い頬を見つけてスっと体温が冷える。
気を抜くと真顔になってしまいそうで、目を逸らし、なにか言おうとした彼女を言いくるめ、一度部屋を出た。
「クソ男が……」
恐らく彼女の頬の原因であろう男を思い浮かべ、舌打ちしながら給湯室で手早く氷水を作る。
あまりこのフロアをうろつく事がないからか、珍しそうな顔で、声を掛けたそうにこちらを見てくる女たちの視線を無視しながら、会議室に戻り氷水入りの袋を手渡した。
「これで冷やせ」
指が触れるだけで緊張してしまいそうで、それを悟られないようにと気遣った声は思った以上にぶっきらぼうになってしまい。