本気の恋を、教えてやるよ。



いつの間にか、慶太が私と付き合う理由なんて、もうどうでも良くなっていた。


私が慶太と付き合うのは……慶太が、それを望むから。傍にいて欲しいんだと、そう願うから。


私から抵抗する力が無くなったことに気づいたのか。


「茉莉……まり……」


慶太はうわ言のように何度も私の名前を呼びながら、体中の至る所に羽のようなキスを落としていく。


私はふと、まだ慶太が優しい彼氏だった時のことを思い出していた。


こうやって抱かれる度に、優しかった彼を思い出す。


初めて身体も繋がった日。


慶太も私も初めてで、お互い手探り状態で抱き合った。


すっごく疲れたけど、それでも幸せで。


慶太は私を抱いてくれる度、いつも、何度も私を労わってくれて、行為が終われば優しく抱きしめてくれた。


温かい慶太の腕の中は、泣きたくなるくらいに幸せだった。


……なのにいつからか、慶太はそんな風には私を抱かなくなったね。




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