本気の恋を、教えてやるよ。
梓ちゃんは宣言通り私の最寄りで待っていて、肌寒い中待たせてしまったことを謝りながら、二人ですぐ側のファミレスに入る。
梓ちゃんは同じ会社で働く同期で、人事部で事務をしている。経理部で働く私とはフロアも同じで、同期の中で一番仲良しの女の子だ。
今ではお互いの家を行き来する程で、もしかしたら学生の頃の友達よりも仲良しかも、なんて。
そんな梓ちゃんに会えるとホッとして私は顔が緩んだが、梓ちゃんは胸まである濡れ羽色の髪を耳にかけると、凛々しい瞳をいつもより鋭くさせて、私を射抜いた。
「さて。事細やかに説明してもらうわよ」
強い口調で言われ、気分はまるで取り調べを受ける犯罪者だ。
私は苦笑し、メニューを手に取り梓ちゃんに手渡した。
「梓ちゃん落ち着いて。とりあえず、なにか頼もう?」
そう宥めながら自分もメニューを開く。