本気の恋を、教えてやるよ。



「そっか。じゃあ、案外すんなりと別れられたのね……」


その言葉に、ズキリと胸が痛む。

違う。違うの、梓ちゃん。


「ごめんね……」

「え、メッセージのこと?それはもういいって。茉莉が無事だったしね」


苦笑いで笑い飛ばそうとする梓ちゃんに、力なく首を左右に振った。


ごめんね、違うの。


「別れられなかった……」


店内の喧騒にかき消されてしまいそうなほど小さい声で呟くと、それでもしっかり彼女の耳に届いたのだろう。梓ちゃんの目が大きく見開かれていく。


その瞳が、絶望にも似た、驚愕の色を浮かべていて、梓ちゃんの目を真っ直ぐに見つめ返すことが出来なかった。


「失敗しちゃったの、ごめんね」

「どうして……脅されたの?やっぱり、暴力振るわれたんじゃ……」

「──違うの」


静かに、梓ちゃんの言葉を遮る。


「私が自分で、決めたの」




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