本気の恋を、教えてやるよ。
自分で、慶太とは別れないって決めた。
慶太を放っておくことが出来なくて。
結局私は優柔不断で、最後のところで踏み出せずに終わってしまう。
「慶太には、やっぱり私が必要なの──」
「なにそれ!」
突然張り上げられた梓ちゃんの大きな声に戸惑う。
梓ちゃんは、怒ったような目で肩をふるわせ、私を睨んでいた。
「ねえ茉莉。自分がどれだけ酷い扱いを受けてるか、ちゃんと分かってる?」
梓ちゃんが震える手で私の両手を包み込み、そう聞いてくる。
まるで祈るように、何かを抑えるように、包み込まれる手に力が込められる。
「筒井がどうかなんて知らない。でも、茉莉にあの男は必要ない。……そうでしょ?」
「私、に?」
私に慶太が必要か、必要じゃないか。
いざそう問われると、戸惑う自分がいて、そんな私に梓ちゃんは苛立ったような視線を寄越した。