本気の恋を、教えてやるよ。




「必要な筈がないでしょ?筒井が、茉莉にとってメリットになることを何かしてくれた?茉莉の事、大切にしてくれてるの?」

「それは……」

「お願いだから、幸せになるのを諦めようとしないでよ……」


項垂れるように懇願する梓ちゃんに、眉を下げる。


「梓ちゃん……でもね、こんな風に本気で心配してくれる友達が居るのって、すごく幸せな事だと思うんだ。……だからね、大丈夫だよ?」

「違う。そういう事を言ってるんじゃなくて、茉莉にはもっと幸せになる権利があるって言ってるの」


力強く訴えられ、どう反応すればいいのかわからず困ってしまう。


「……茉莉は気付いてないだけだよ。本当はすごく苦しいのに、辛いのに、気付かないふりをして、大丈夫って笑ってる」

「……」

「私、茉莉が心配だよ。いつか本当に心を壊してしまいそうで……。本当に大丈夫な人は、そんなに痛々しい笑顔なんか浮かべないんだから……」




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