本気の恋を、教えてやるよ。



「もちろん!」


ニコニコと頷いた先輩は何故か給湯室まで着いてきて、先に行っててくれても……と思いながら、彼の後を着いていった。


資料室に入ると、確かにテーブルの上にはいくつものファイルが積まれていた。……でも、想像よりは少ないかも?


私が知らないだけで、他にも仕事があるのかな、と思っていると隣に先輩が並んだ。


「あの、このファイルを──」

「……稲葉さん」


所定の位置にしまっていけばいいですか?という言葉は、私の手に彼のそれが重ねられたことで驚いて消えた。


え?と目を丸くして彼を見上げた先で、先輩は僅かに目元を染めていた。


「あ、あの……?」

「卑怯な真似してごめん。こうでもしないと、中々二人きりになれなさそうだったから」


どういうこと……?


「稲葉さん」

「は、はい」

「好きです。付き合ってくれませんか?」


──え?


いきなり、ほとんど関わったことも無い先輩にそう言われ心底驚く。



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