本気の恋を、教えてやるよ。
どうにかしないとな……。
と、その時突然ドアが開き、誰かが入ってくる気配があり慌てる。
「……ッ、」
「あ、すんません。──稲葉?」
慌てて上体を起こそうとした私と、携帯を耳に当てながらこちらを目を丸くして見下ろす──駒澤くん。
「駒澤くん……」
「アンタ、それ……」
きゅう、と目を細めた駒澤くんだったが、丁度電話をかけたところだったのだろう。
スマホから声が流れてきて、駒澤くんは電話相手と話し始めた。
……邪魔になっちゃうな。
そう思い、起き上がった私はそっと音を立てないように部屋から出ていこうとする。
しかし、駒澤くんの横を通ろうとした瞬間、腕を掴まれて、駒澤くんを見上げると怒った顔で私を見ていた。
そのまま腕を引かれ、ソファに逆戻りさせられる。
上から肩を押さえつけるように座らせられ、私は大人しく座って彼を待つことにした。