本気の恋を、教えてやるよ。
駒澤くんの電話はすぐに終わり、電話を切った駒澤くんはスマホをしまうと私に向き直った。
そして、眉間に皺を寄せながら私の側で膝をつき、毀れ物を扱うような繊細さで私の頬に触れる。
ぴり、と微かな痛みが走り、無意識のうちに肩を揺らしてしまった。
「これ、またアイツに?」
「えっと、これはその……こ、転んで」
「稲葉」
叱るように呼ばれて、言葉を詰まらせる。
さすがに頬から転んだは無理があったか……。
「稲葉、俺、嘘つかれるの嫌いなんだけど」
「……嘘、なんて」
「稲葉、本当のこと言え」
少し悲しそうに表情を歪めた駒澤くん。
どうして駒澤くんが、そんな顔をするの……?
咄嗟に嘘をついてしまった罪悪感と、駒澤くんに苦しそうな顔をさせている事実に胸が軋む。
駒澤くんは傷に触れないよう、私の顔を撫でた。
「筒井にやられたんだろ?」
そんな彼の言葉に促されるように、私は頷いた。