本気の恋を、教えてやるよ。
肌が白いせいで傷が余計に目立つ。
痛々しく腫れ上がるそれに舌打ちが出そうになるのを堪えながらあちこちを検分していると、ふと襟ぐりから覗く首元も一部赤くなっていることに気づいた。
まさか締められたのかと、指の跡かと思い確認しようとして──その正体に思い至る。
「駒澤くん?」
突然動きを止めて黙り込んでしまった俺に、不思議そうな声がかかる。
俺は込み上げてきた不快感を飲み下しながら、「なんでもない」と答えた。
「痛かったら言えよ」
稲葉の首筋から目を逸らし、頬全体を冷やすように袋を当てる。
「あっ、こ、駒澤くんもう平気だよ!あとは私一人で……」
「大人しくしてろって、何回言わせんの」
わたわたと俺から袋を奪おうとする白魚のような手を払うと、稲葉は眉を下げた。
「でも……」
「俺の迷惑になりたいわけ?」
睨めば、しばらく戸惑うように宙を泳いでいた手が、諦めたように下がる。