諷喩は僅か
「お前の中で俺って、どうなってんの」
「どうって……初めて出会ったときの印象を、そのまま今まで引きずってるよ」
「セフレが何人もいるって思ってんの」
「そりゃあ、そうでしょう。後腐れのなくて、都合のいい女の子のストックが片手で収まらないくらいはいて、その中にわたしが、いるんでしょう」
自分で言葉にしてから、自分で勝手に傷ついて。
本当女ってワガママで馬鹿な生き物だなと再認識する。こんな話をするために彼とここにいるわけではない。
彼に会っている間は唯一、私が彼のもので、彼が私のものである瞬間だ。一秒たりとも無駄にはしたくないし、思いが重ならないのなら、身体だけでも重ねていればいいと思うのだ。
「―――ッあ、ま、って、」
「やっぱ、変更。お前のターンは、もう終わりね」
「っ、ちょっと、まって」
「待ってって言われて、待つと思う?俺が」
片手で押されただけなのに、力強かったそれに抵抗できないままもう一度シーツに落とされた私の胸元に唇を寄せ、愛撫をはじめる男。
まるでこれ以上の会話をするつもりはないと遮断された気分だ。知りたくないようで知りたい彼のほかの姿は、今日も知れないままだった。
弱いところを知り尽くした唇が、容赦なく私を攻め立てる。
今日も握ってくれない手のひらは、行き場所をなくしてシーツの上に転がっていた。
「ぁ、……ッ、」
「ちっとも面白くない話してやろうか」
「……っ、?」
「ここ最近、1年くらいな。俺はひとりの我儘な女しか抱いてねえよ」
「―――――ッ、」