諷喩は僅か
自分本位の彼の欲求のまま腰を打ち付けられて、戻りきっていない呼吸がまた、乱れる。
腕を引っ張られ、体を起こされて彼の手がわたしの背中に回る。抱きしめられるように密着した肌同士がぶつかる。ほんの少しの力を振り絞って彼の背中に手を回せば、さらに身を寄せられて、深くまで押し付けられたそれに身体がのけぞる。
「っあ、くすのき、……も、むり、」
「まだ俺は無理じゃない」
「―――っ、あ……ん、ッ!」
ぎゅう、っと中が伸縮して、私を貫いているそれが大きくなるのを感じた。果ててこれ以上の快楽を受け入れられないわたしは、涙目になって彼の背中をつねった。
「如月、もうちょいがんばって」
「も、むりっ、むり、や―――んぅ、」
頬に落ちる涙を細長い指が掬って、続かない言葉を塞ぐようにキスをされる。
もう、何も考えられなかった。自分本位で、我儘なのはどっちだ。
結局彼の思うままに抱かれて、果てて、わたしの意識は途中でぷつりと途切れた。