角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
そこには、整えられた黒髪に隙間から覗くピアスがキラリと光り、切れ長の瞳にスッとした鼻筋、完璧なパーツがそこにはあって。
スラッとした高身長に、そして程よく着崩した制服。胸ポケットの刺繍は私たちとは違う色。
つまり、それは先輩を意味していて。
私を引き止めたのは、芸能人レベルにかっこいい男の子だった。
「えっと、あの……?」
瞬きを繰り返して、硬直していると、
「この子、借りていい?」
私ではなく、つばきちゃんに尋ねているようで。
「はいっ、どうぞ!」
つばきちゃんは、目をうっとりさせて簡単に私を差し出す。
「えっ……つ、ばきちゃん?」
「あとで話聞かせてね」
こそっと小声で告げられたあと、
「じゃあ行こ」
そう言って、私の手を掴むと歩き出すから、購買へ行くことはできなくなった。
そうして連れて来られたところは校舎裏だった。
「いきなり引っ張ってごめん。びっくりしたよな」