角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

うっ、ほんとだ……。図星を掘ってしまったよぅ……


「それは……私のものかどうか確信がなかったみたいで、教室だと目立つからって……」


平野先輩が人気者だから、先輩といると私までスポットライトが当たってしまう。


ほんとは目立たないでひっそりと過ごしたいのに。


「ほんとに?」

「う、うん……」


嘘をついていることがすごく罪悪感。


「じゃあ楠木さんは、ほんとに先輩とは何もないの? 信じていい?」


私と先輩の間には、特別な関係なんてない。

ただの先輩と後輩として。

そして、お菓子をあげる関係だけ。


「なにも──…」


なにもない、とひと言。

言おうと思ったのに言葉が現れなくて。


私、どうしちゃったんだろう……。


「楠木さん?」


みんなの声にハッとすると、


「やっぱり何かあるんじゃないの?」

「ひとりで抜け駆けとかずるいよ」

「平野先輩は、みんなのものなんだよ」


一斉に言葉を告げられて、どこから返事をしていけばいいのか分からなくて困った。
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